消費者金融の金利は本当に高いか!?
「消費者金融の金利は高い!」という漠然とした印象をもっている方は多いのではないでしょうか。
でも、はたして本当にそうなのでしょうか?
上限金利が引き下がったという話もありますし、実際のところはどうなのでしょうか。
今回、あらゆる観点から検証してみました。
個人的には、それほど高いとは思えません。
【上限金利引き下げの歴史】
2010年に施行された、改正貸金業法によって、現在、消費者金融の上限金利は、
●元本10万円未満・・・20%
●元本10万円以上100万円未満・・・18%
●元本100万円以上・・・15%
まで引き下げられました。
「まだまだ高い!」
という声も聞こえてきそうですが、かつては、消費者金融の上限金利はなんと、109.5%の時代もありました。
これが、いわゆる「サラ金問題」などが社会問題化したことあり、およそ3年ごとに上限金利を見直して段階的に引き下げがなされるようになりました。
具体的には以下のように引き下げが行われています。
・昭和58年に73%
・昭和61年に54.75%
・平成3年に40.004%
・平成12年に29.2%
・平成22年(2010年)に20%
このように見ると、当初に比べ、消費者金融の上限金利は、かなり引き下がっていることがわかります。
当初の109.5%が異常と言えばそれまでですが、30年ほどで、上限金利は実質、5分の1以下になったことは事実です。
【フリーローンなのでやむを得ない!?】
消費者金融ではあまりなじみがありませんが、銀行では、かつて「資金使途」を明らかにして融資を受ける「目的ローン」が一般的でした。
(最近は、銀行もフリーローンの取り扱いが増えてきて問題になっていますが・・)
例えば、
・教育ローン
・ブライダルローン
・リホームローン
・マイカーローン
などがあります。
このような、「目的ローン」の場合は、お金の使い道が明確で、浪費や無駄遣いではないので、利用者も計画性をもった人が多く、不良債権リスクが低いとされています。
そのため、「目的ローン」の金利は、使途自由の「フリーローン」よりも低くなっているのが一般的です。
一方、消費者金融のような使途自由の「フリーローン」は、浪費、無駄遣いでの利用者が多く、中には、他社への返済など、「自転車操業」目的で利用する人もいます。
このため、不良債権リスクは、「目的ローン」に比べてどうしても高くなってしまいます。
消費者金融の金利が、他のローンに比べて高いのは、「フリーローン」である以上、やむを得ないかもしれません。
【資金調達力では銀行にはかなわない】
同じ、「フリーローン」でも、銀行カードローンは、消費者金融よりも、金利は低くなっていることがほとんどです。
これは、各銀行によって様々ですが、消費者金融が年率18.0%なのに対して、年率14.6%ぐらいまでが一般的でしょうか。
しかし、銀行と比べるのは、ちょっと酷かもしれません。
調達資金力がまるで違うからです。
特に、中小消費者金融では資金調達は甘いものではありません。
銀行傘下の消費者金融でさえ、18.0%なのに、中小消費者金融が、同じ金利で営業しているのは、かなりの企業努力があってのことだと思います。
【価格競争が起こらない謎!?】
これは、個人的に、以前から不思議に思っていることですが、
「消費者金融の金利は、軒並み18.0%で価格競争が起こらない!」
ということが言えます。
例えば、「無利息期間サービス」など、一定期間、金利を下げるサービスなどは、よく目にしますが、基本的な金利設定に関しては、軒並み、上限金利、目一杯という傾向があります。
中小規模の消費者金融が経営上、金利を下げられないのは理解出来ますが、大手消費者金融までもが、かたくなに金利の引き下げを行わない明確な理由は不明です。
これまで、業界主導ではなく政府主導で金利の引き下げが行われてきたため、受け身の姿勢が染みついているということもあるのかもしれません。