コロナ禍での中小消費者金融からの借入れについて
今般の新型コロナウイルス感染症は、あらゆる分野に影響を及ぼしていますが、これは中小消費者金融とて例外ではありません。
はたしてこのような事態において、無事にキャッシングすることはできるのでしょうか。
また、そのためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
今回は、コロナ禍での中小消費者金融の動向について、特に皆さんが、気になると思われる項目をまとめてみました。
(2020年5月現在)
【コロナ禍での中小消費者金融の営業状況】
まずは、コロナ禍での中小消費者金融の営業状況について確認をしていきましょう。
営業は通常通りやっているのか?
消費者金融は、「自粛要請対象業者」ではなく、ほとんどの会社が通常通り営業活動を行っています。
そのため、皆さんは通常通りに融資の申込みをすることが可能です。
但し、一部、店頭や無人契約機での受付時間を短縮している会社もあるので、詳しくは各社のHPを確認して下さい。
コロナ禍で融資申込みは増えているのか?
よく、今回のコロナ禍によって、生活に困窮する人が増えるため、消費者金融への申込者が増加すると言われていますが、反面、「ステイホーム」によって、消費が抑えられているということもあります。
また、もともと、3月~5月は消費者金融業界にとって、「繁忙期」なので、1年の中でも、申込みが増加する時期でもあります。
結論としては、現段階(2020年5月現在)では、申込み件数の極端な増加は見られておりません。
※追記(2020年5月20日)
5月も終盤に入り、コロナ禍での中小消費者金融への申込み件数は、軒並み減少傾向であることがわかってきました。
既に、多くの都道府県で緊急事態宣言は解除されていますが、解除後も政府が「新しい生活様式」を提言するなど、全面的な解除とはならず、いまだ消費が落ち込んでいることが要因でしょう。
この時期に積極融資を行っているのか?
コロナによる営業自粛によって、アルバイトやパートに行けない、若者層の受け皿として、一部、フィンテックベンチャー企業が少額融資に力を入れているとの報道もありました。
しかし、業歴の長い老舗の中小消費者金融は、このタイミグでの融資に関しては、総じて慎重路線です。
ハッキリ言えば、平時よりも審査は厳しくなっていますし、各社の承認率も通常よりも下がっています。
今般のコロナ禍が長引けば長引くほど、それに比例して、返済困難となる方も増えるので、自然、不良債権が増加することになります。
このような先の見えない時期に、積極融資に打って出ることは、通常あり得ません。
【この時期に審査を通すポイント】
各中小消費者金融が融資に対して、消極的となっているこの時期に、審査を通すにはどうしたらよいのでしょうか。
以下にそのポイントをまとめてみました。
①緊急事態宣言が解除されている地域の消費者金融に申し込め!
緊急事態宣言が発令されている地域では、消費者金融など休業対象となっていない業種でも、営業時間を短縮したり、交代勤務としていたりと、審査体制が万全ではない可能性があります。
このタイミングで申込みをするのであれば、緊急事態宣言が解除されている地域に申込みする方が、普段通りの適正な審査が期待出来ます。
②生活に困窮していることのアピールは逆効果
消費者金融は福祉の事業ではありません。
融資する条件も、継続して安定した収入が見込める方に限定されています。
そのため、消費者金融に申込みをする際に、生活困窮ぶりをアピールすることは、完全な逆効果なのでご注意ください。
③副業があれば申告しておく
副業をしているのであれば、申込み時に申告しておく方が間違いなく有利です。
この時期は、失業リスクが増えるため尚更です。
④補助金受給予定を把握しておく
既に、全国民に対して、1人10万円が一律給付されることが決まっています。
このような特別定額給付金など、確実な、補助金を清算根拠として、当座の資金の融資の申込みをしている人はかなりいます。
明確な清算根拠を示すことが出来れば、可決の可能性は高まります。
⑤在籍補完書類を用意しておく
この時期は、勤務先自体が休業中であったり、在宅勤務となった方も多く、勤務先での在籍確認が取りにくくなっています。
補完書類として、直近の給料明細などを準備しておいた方が無難です。
このような時期は、生活困窮者からの資金需要が増えることは間違いないので、それをターゲットとした、「闇金」の暗躍が懸念されています。また、給料日前に現金を借りる、「給料ファクタリング」業者の中には、年率数百%相当の手数料を取るという、脱法行為を行う会社もあり、問題化しています。
このような不安定な時期だからこそ、申込み業者の選別は慎重に行うようにして下さい。
【コロナ禍で返済困難となってしまった場合は】
コロナ禍の影響を受けて、返済困難な状況となってしまうこともあり得ます。
そのような場合はどうしたらよいのでしょうか。
返済猶予の相談は可能
今回の事態を受けて、金融庁からは、各消費者金融に対して、顧客から、ローンやクレジットの支払条件や貸付条件の変更の申し出があった場合は、不利益を被らないよう、柔軟かつ適切な対応を図るように要請が出ています。
消費者金融は、監督官庁である金融庁からの要請を無視することは出来ません。
そのため、取引中の消費者金融に相談すれば、一定期間の返済猶予には必ず、応じてくれるはずです。
信用情報に事故情報が登録されない
消費者金融の指定信用情報機関である、㈱日本信用情報機構(JICC)と㈱シー・アイ・シー(CIC)からも、コロナ禍の影響を受けた方の返済を猶予した場合は、信用情報の登録に「延滞情報」など、顧客の不利益となる情報を登録しないように要請が出ています。
そのため返済猶予してもらった場合は信用情報に事故情報が掲載されることはありません。
本当に、事故情報が登録されていないか、後日、各信用情報機関に情報開示をして、チェックしておくことをおすすめします。もし、事故情報が発生していれば、信用情報機関を通して、抹消依頼をすることも可能です。
このような事態を想定して、返済猶予に応じてもらった場合は、日時や内容等を記録しておきましょう。
日本貸金業協会に相談も可能
返済猶予の相談に関して、取引中の消費者金融と話がまとまらない場合は、日本貸金業協会の「貸金業相談・紛争解決センター」に相談することをおすすめします。
(詳しくは日本貸金業協会のHPで確認下さい)
大幅な減額が必要な場合は専門家に相談
一定期間の返済猶予であれば、各消費者金融は、比較的簡単に応じてくれるはずです。
但し、ここで言うところの、「返済猶予」とは、「一定期間、返済を先延ばしにする」ということであって、借金がなくなるわけでも、減額されるわけでもありません。
猶予している期間も利息は発生することになります。
そのため、借金の減額を伴うような大幅な返済計画の見直しが必要な場合は、弁護士、司法書士などの専門家に相談する方が無難です。
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインの特則
※追記(2020年11月24日)
この度、新型コロナウイルス感染症の影響で返済困難な状況に陥ってしまった方を支援するため、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に特則が設けられました。(2020年12月1日より適用開始)
このガイドラインは、もともとは、東日本大震災以降、自然災害に対する意識が高まる中、自然災害によって住宅ローン等の返済が困難になった方が、自己破産などに追い込まれないよう、特定調停手続きを活用して減額を申し出る債務整理のことを指していました。
今回、新型コロナウイルス感染症の特則が設けられたことにより、新型コロナウイルス感染症の影響による失業や収入減でローンの返済ができなくなってしまった方も、一定の要件を満たせば、住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の免除・減免を申し出ることができるようになりました。
この制度の活用を検討したい方は、まずは、もっとも多額のローン借入先の金融機関に電話で問い合わせをしてください。