続:コロナ禍での中小消費者金融からの借入れについて
新型コロナウイルス感染症の影響で消費が冷え込んだことにより、2020年度第一四半期(4月~6月)の各消費者金融の新規獲得は大幅な減少という結果となってしまいました。
(参考:コロナ禍での中小消費者金融からの借入れについて)
しかし、第二四半期(7月~9月7)からは、少し傾向が変わってきたようです。
ここでは、まだまだ続くコロナ禍での中小消費者金融の動向について最新情報を記録しておきたいと思います。
コロナ禍での新規獲得状況
まずは下の図をご確認ください。
これは、消費者金融大手3社の、2020年度4月~8月までの、を表したものですが、中小消費者金融もほぼ同様の傾向をたどっています。
このデータからも、4月~6月にかけて大幅に落ち込んでいた、「新規獲得」が、7月~8月では回復傾向にあることがわかります。
このことからも消費者金融の新規獲得は、我々国民の「ステイホーム」や政府の景気対策と密接に関連していることがわかります。
すなわち、
●ステイホーム解禁・・新規獲得増加
ということです。
かつて消費者金融は不況に強いと言われてきましたが、どうやら不況で消費マインドが冷え込めば、それに比例して、新規申込みも減少するということが明らかになりました。
但し、2020年度後半は、政府は景気対策である、「GOTOキャンペーン」を推進してゆくことが予想されるので、それに比例して、新規申込件数、新規獲得件数、承認率の回復傾向は続いてゆくことが期待できます。
承認率の回復は!?
前述したように、このデータからは新規申込件数、新規獲得件数は回復傾向だということは読み取ることができますが、承認率に関しては、一見、低迷が続いているようにも見えます。
しかし今後は、新規申込件数、新規獲得件数の増加に伴い、徐々に承認率も上がってくることが予想されます。
特に2020年度の第一四半期は、コロナの影響をもろに受け、全体的な残高も各社減少傾向にあります。
これを回復させるためにも各社が、下半期に承認率をUPさせてくる可能性は高いでしょう。
(この辺りの根拠は後ほどもう少し詳しく記述したいと思います。)
不良債権は減少している
消費者金融業界では当初、このままコロナ禍が続けば、給料が減ったり、失業したりする人が増えて、それに比例して不良債権が増加することが心配されていました。
確かに長期的な目で見れば、その通りかもしれませんが、短期的な目線で言えば、現時点(2020年10月現在)では、実は各中小消費者金融の不良債権は逆に減少傾向にあります。
これは、政府が国民に一律で現金を配った「特別定額給付金」や、売上が落ちた自営業者に対する「持続化給付金」など、給付金が大きく影響していると考えられます。
その結果、消費者金融の現場では、これまでずっと返済を放置していた、長期延滞者が突然、完済になるなど、「奇跡の入金」が続き、不良債権はいまのところは減少傾向にあるようです。
承認率UPは一過性になりかねない
このように不良債権が減少傾向の中、融資残高が伸びていないわけなので、各中小消費者金融は、今後、一時的かもしれませんが、承認率を復活させてくる可能性が高いと言えます。
但し、冬の時期が到来し、コロナの第二波、第三並がくるなどして、再び世間が「ステイホーム」の自粛ムード一色になってしまえば、消費者金融への新規申込件数が下がる⇒新規獲得件数が減る⇒承認率が下がるという循環を繰り返すことにもなりかねません。
また政府や地方自治体の財源も限りがあるので、いつまでもこのような手厚い給付を続けてゆくことは不可能です。
コロナ禍が長期化すれば、失業者は増え、不良債権が増加してゆくことは間違いないので、消費者金融の承認率は再び下がってゆくでしょう。
今後の消費者金融業界の展開を大予想
まとめると、2020年度下半期(10月~3月)以降の消費者金融業界の流れは、以下のようになることが予想されます。
↓
・消費者金融への入金が増えるため、融資残高、不良債権は減少する
↓
・消費者金融は残高回復のため承認率をUPしてくる
(※このタイミングが申込みのチャンス時期)
↓
・コロナ禍が終息せず長期化
↓
・手厚い給付も不可能になる
↓
・失業者が増加し、不良債権も増加
↓
・消費者金融の承認率は下がる
もちろん、コロナ禍が短期間で終息したり、終息せずとも、「ステイホーム」ではなく「経済を回す」という政策に転換すれば、また流れは変わってくることになります。
今後、第二波、第三波が到来した際に、新たに誕生した菅政権が「ステイホーム」か「経済を回す」かどちら寄りの対応をとるのかが、大きなポイントになってくるでしょう。