実際見たこと、聞いたこと(part2)
かつて私は消費者金融での勤務経験がありますが、今回は、その現場で、実際、見たり、聞いたりしたことを、思いつくまま書いてみました。(part2)
【今から事務所に行ってやるから待ってろよ!】
何とも物騒な言葉遣いですが、ひと昔前は、取り立ての電話をした際、この手の暴言をお客さんから、言われることも、珍しくありませんでした。
(もちろん、実際に暴力沙汰になるようなことはありませんでしたが。)
私は、こういうトラブルがある時はお客さんの気質に問題があると思っていました。
しかし、イマドキの消費者金融では、こんなことを言われたという話は全く聞きません。
お客さんの気質が変わったのではなく、やはり、当時の消費者金融側の物の言い方や、お客さんとの接し方に問題があったんでしょうね。
【もう一つの介入?】
いまどきの金融マンに、こんな話をしても信じられないかもしれませんが、ひと昔前までは、いわゆる「その筋の人」が介入してくることも、多少なりともありました。
それは、突然の電話から始まります。
「私、そちらを利用している○○から、借金の相談を受けた者ですが、今後の返済の話は私を通して下さい。
とりあえず、私の名刺をFAXしておきます。」
といった感じです。
もちろん、店頭に直接くることだってありました。
「反社会的勢力の排除」なんて言葉がなかった、20年、30年前くらいまでは、こんなアナログな手口が堂々?横行していたものです。
どうやって対応してたのかって?
そんなものが送られてきた債権は、まず貸し倒れは確定でしたね。
【メール文化がない時代の話】
延滞顧客の中には、かたくなに、電話には出ず、代わりに、言い訳の手紙を出してくる人もいます。
電話しても、怒られたり、言いくるめられたりするかもしれないと思って、かけにくいという気持ちはわからなくもありません。
また、手紙ではなく、中には、わざわざ、「電報」を送ってくる人もいます。
「ヘンサイデキズ、シバラクマタレヨ」
う~ん、どうしても直接、話がしたくないんですね。
【融資の仕事・回収の仕事】
消費者金融の仕事は、「融資」の部署と「回収」の部署に分かれています。
そして、それぞれの部署は、その仕事の性質上、対立しているものです。
すなわち、回収部署からすれば、
「どうしてこんな人に貸すんだ!」とか、「完全な貸付けミス!」
ということになりますし、
融資部署からすれば、
「貸さなきゃ、商売にならないんだよ!」
ということになります。
まあ、それぞれ牽制しあってる方が、組織としては健全というわけです。
もちろん、それはわかったうえですが、でも、せっかく苦労して回収した顧客に、また、融資しているのを見ると、「ホント、いい加減にしてくれ!」と言いたくなる気持ちもわかりますね。
【不動産の評価は鑑定に頼るな!】
昔の消費者金融は、地域に実店舗がある会社が多かったので、「不動産担保ローン」の取り扱いをしている会社が多くありました。
(現在は、法律改正で、「居宅」を担保にする場合は、総量規制の範囲内でしか融資できなくなったので、消費者金融の「不動産担保ローン」は下火ですが・・)
銀行などが行う「不動産担保ローン」は、土地家屋の評価額を算出して、その評価額の範囲内で融資をするのが王道ですが、消費者金融に流れてくる担保物件は、そもそも担保余力なんてほとんどないのが普通です。
でも、そんな余力のない担保でも、充分な意味を発揮することがあります。
例え、ペーパー上の余力が全くなくても、その人にとって「特別な不動産」といった「心の評価」が高ければ、おいそれと手放すことはありません。
例えば、「先祖代々から守ってきた土地」といったようなことであれば、例え評価がなくても、身内からの協力だって見込めるということです。
そんなところを、見極めるのが、私たちの仕事なんです。
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[…] 柴田なにぶん、ひと昔前のことではありますが、中小消費者金融の「ノリ」というか、「エッセンス」は感じていただけると思います。 (part2もご覧ください。) […]